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2020年6月18日

パッシブデザインの開放的な空間が完成 | 千葉県柏市

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先月2020年5月にライブ見学会を開催させていただいたブラコニ様邸。

ブラコニ様のオーナーズブログはこちら↓
https://re-trust.com/blog/owners/author/burakoni/

 

ブラコニ様邸の設計はパッシブデザイン設計事務所「TAKiBI」、建築は無添加計画というコラボ企画でした。

このコラボ企画は、日本のパッシブデザインを牽引するパッシブハウスジャパン理事、松尾和也氏(松尾設計室)の協力により実現しました。

 

ブラコニ様邸におけるパッシブ・アクティブな環境制御の手法について、TAKiBIさんがまとめてくださったのでご紹介いたします。

 

【パッシブな環境制御の手法について】

1) 建築の形態の工夫による日射制御

①庇
・南側の屋根を跳ね出して大きな庇を設けることによって、夏季の日射が室内に侵入し室温が上昇することを物理的に防いでいます。
・冬季の太陽光は日射角度が浅いため、庇があっても室内に取り込むことが可能であり、ダイレクトゲインとして室内に蓄熱することによって暖房負荷の軽減を図ります。
・庇の深さは敷地の日射角度から決定しています。
・雨風が直接外壁や開口部に到達することを軽減し、縁側のような中間領域を生み出す効果もあります。

②袖壁
・日射角度の浅い西日(東日)を制御するには袖壁や垂直方向の庇を設けることが有効です。
・ブラコニ様邸では建物形状とのデザイン的なバランスやコスト的な観点から設けておりませんが、斜めの大庇(屋根)が浅くなる根元の部分においては、1~2階通しで耐力壁も兼ねた幅半間の小壁を設けることによって日射を制御しています。

③開口部
・冬季のダイレクトゲインを室内に取り込むために南面に大きな開口を設けることが有効です。
・東西北面の開口部は基本的に日射遮蔽を優先して日射取得を期待せず、最小限の大きさの開口を必要最小限の数量設けるという設計方針を採用しています。
・サッシは樹脂サッシ(APW330)のLow-eペアガラス仕様を採用しているので申し分ない性能が確保されています。

④植樹
・適切な場所に落葉樹を植樹することによって、夏季は建物への日射侵入を防ぎ冬季はダイレクトゲインを室内に取込むという機能を担わせることが可能です。

2) 自然通風の促進

①風上に設ける風の入口と風下に設ける風の出口
・特定の地域において一定の向きに頻繁に吹く風を卓越風と言い、この卓越風の向きや周辺の建物状況を分析して、開口部の位置を決定することで中間期の自然通風を促進することが可能です。

②屋根窓
・ブラコニ様邸においては卓越風の風上にあたる南東に大開口を設け、風下にあたる北西の屋根頂部に自然換気用のハイサイドライト=屋根窓を設けました。
・特に住宅がある程度密集している敷地においては、屋根面を沿って吹き上がる卓越風が屋根窓からの通風を引っ張り出して自然換気を促進させる効果がある、ということが実測実験により証明されています。

3) 躯体の断熱性能

①外壁
・外壁の断熱材は充填式の内断熱における構造体の熱橋(ヒートブリッジ)対策にもなる外断熱が有効であると考えます。

4) 躯体の遮熱性能

①外壁通気層
・外壁の断熱層の外側に通気層を設けることによって、夏季の日射輻射熱が軽減されるため、室内の冷房負荷の削減に寄与します。
・ブラコニ様邸においては木製サイディングを採用した東と南面には通気層が確保されています。

②屋根通気層
・屋根面も外壁と同様に断熱層の外側に通気層を設けることによって、夏季の日射輻射熱が軽減され、室内の冷房負荷の削減に寄与します。
・ブラコニ様邸においては垂木層がこの通気層の役割を果たしており、外壁通気層の足元から取り入れた通気が上昇し、屋根通気層を通って、屋根頂部に設けた換気棟から排出される仕組みとなっております。

③遮熱シート
・更にこれらの通気層にアルミニウムを蒸着させた透湿防水シートを貼ることによって夏季の遮熱効果を促進させることが可能で、冬季は逆に屋外からの熱の放射を抑制する効果があります。

5) 一室空間

①間仕切りのない一室空間と吹抜け
・一室空間や吹抜け空間は冷暖房負荷が大きくなるという側面がありますが、ブラコニ様邸においては1階と2階の階高を2.5m、2.1m~+最大1.4m(勾配天井)と抑えることでによって気積を削減しています。
・吹抜けを設ける場合は空間体験にメリハリを設けるという意味でも、一般部の天井高さは2.1m程度で体感的な問題はありません。

②手摺
・2階の吹抜けまわりの手摺は腰壁ではなく軽快なスチールフレームで制作しています。
・意匠的な理由もありますが、腰壁を設けることによって1~2階間の空気の流れがせき止められてしまい温度ムラを増大させてしまうことを避けるという狙いもあります。

 

【アクティブな環境制御の手法について】

6) 空調機

①壁掛け空調機
・ブラコニ様邸では壁掛け空調機を吹抜けに面した2FLレベル、つまり家全体の高さ方向の中間レベルに設置しています。
・このことによって、1Fについては通常の吹き出しモードで対応し、2Fについては吹き出し経路の直上にシーリングファンを設け、空気を撹拌することによって冷暖房の空気を2階に届けやすいという狙いがあります(特に夏季に下方に溜まりやすい冷気を2階に届けることが重要です)。
・一室空間住居の場合は、このように空調機の設置場所を十分に検討することによって、ダクティング無しでも1台の機器で対応することが可能です。

7) 送風機

①シーリングファン
・シーリングファンは自然通風の促進と冷暖房空気の撹拌、温度ムラの解消に寄与します。
・回転方向を操作することによって、空気を下方から上方へ引っ張り上げる効果と上方から下方へ押し下げる効果を使い分けることができ、吹抜け空間を設ける場合は有効な設備です。

8) 太陽光発電

①効果
・再生可能エネルギーを増やすことで一次エネルギー削減率を大幅に高めることが可能であるため、実生活はもちろんですがZEH判定に取得においても効果的な手法です。
・特にブラコニ様邸で採用されているリースシステムは、これまで大きなハードルとなっていたイニシャルコストの問題を解消する有効な手法であると考えられます。

②パネル枚数
・ブラコニ様邸の場合、メーカー設置可能最大枚数である24枚を搭載していますが、あと2~3枚増やすことができれば完全なZEH基準をクリアするという状況でした。

③設置方位
・ブラコニ様邸の場合、仮に設置枚数を現状の24枚としたままで、屋根を南向きの片流れに変更すると発電量が増大しZEH基準をクリアしますが、室内の空間イメージや外観、構造システムにも大きな影響を与えるため現実的ではありませんでした。
・このように、太陽光発電は今後ZEH住宅を目指す際には設計段階からの重要なファクターとなるでしょう。