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気密性能を数値化 ~C値(隙間相当面積)~ | 東松山市M様邸
2019.11.22
気密性能の測定を、埼玉県東松山市のM様邸にて行ないました。
測定結果は0.7㎠/㎡。
この数値はC値(相当隙間面積)と呼ばれており、建物の気密性能の指針となります。
この数値は低ければ低いほど気密性能が高いということ。
では、このC値0.7というのがどの程度の気密具合なのか、ご説明いたします。
まずは、C値を測定するのに必要な「実質延べ床面積」について。
実質延べ床面積とは、建物の内部に含まれる吹き抜け、小屋裏、基礎断熱の場合の床下などの気積の概略を2.6mで割って床面積に換算し、床面積に加えたもの。
吹き抜け等の有無に関わらず、公平にC値を比較するための延べ床面積のことです。
M様邸の床面積は1,2階+ロフトで約119㎡ですが、実質延べ床面積は約139㎡となります。
その、実質延べ床面積に対してのC値結果が0.7㎠/㎡ということです。
つまり、0.7×139=97.3で、M様邸全体の隙間は97.3㎠となります。
例えば、ハガキの大きさの穴が壁に開いているとすると、その大きさは148㎠です(10㎝×14.8㎝)。
名刺の大きさだと、50㎠(9.9㎝×5.5㎝)。
つまり、M様邸の隙間は名刺2枚分くらいとなります。
気密性に配慮していない住宅だと、一般的にはC値10㎠/㎡前後と言われています。
これをM様邸に換算すると、1390㎠となります。
名刺でいうと28枚分。
また、国が定める次世代省エネ基準(H11制定)のC値は5㎠/㎡以下。
これをM様邸に換算すると、695㎠となります。
名刺でいうと14枚分。
ここまできたら、もう名刺を並べるしかありません。
これで28枚。気密性に配慮していない住宅の隙間と同じ大きさとなります。
高さ約40㎝、幅38.5㎝の隙間・・・というか、もはや穴。大きな穴です。
色分けすると。
ピンク+紫+緑、つまり名刺全部で気密性に配慮していない住宅の隙間。
紫+緑、つまり全名刺の半分にあたる部分が国が定める次世代省エネ基準の隙間。
そして、緑色の部分がM様邸の隙間。
どれだけM様邸の隙間が少ないか、お分かりいただけるかと思います。
無添加計画が加盟している、超省エネ住宅の建築に取り組む技術開発団体「新住協」の指針値は1.0㎠/㎡以下。
M様邸は、これも十分クリアしています。
気密性能というのは、ビニールで家全体を覆えば比較的簡単に上げることができます。
しかし、ビニールを使うと万が一の火災の時に有毒ガスを発生する原因にもなり、安易な高気密化は結露の原因にもなります。
無添加計画では、壁の内側から外側までを一貫して水蒸気が通り抜ける工法を用いながら、自然素材や土に還る建材を使い、気密性能が高い住宅を建築しています。
ここからは余談になりますが、上記で紹介した次世代省エネ基準のC値。
平成11年に告示された際にはC値の基準が明示されていましたが、平成25年に改正された省エネ基準からはC値が削除されています。
(細かく言うと平成21年には削除されていたようです)
C値を削除した理由として、国土交通省は以下の通り述べています。
・気密性の確保に係る定量的基準の削除
これまで、漏気による熱損失量の削減、壁体内結露の防止の観点から、住宅の気密化について、相当隙間面積を規定していたが、施工技術・施工精度の向上、使用される建材・工法の変化(面材の多用等)により住宅構造形式にかかわらず一定程度の気密性が確保される状況にあること、また、住宅性能表示制度における特別評価方法認定の蓄積により、多様な方法による気密性の確保が可能であることが明らかになってきたことなどから、気密住宅に係る定量的基準については除外する。
要は、「昔と違って技術も建材レベルも上がった今は、どんな家でもそこそこの気密性が確保できているだろうからC値は必要なくなった。」ということかと。
しかし、C値が削除された理由として、
①C値は、それぞれの現場において実際に機械を用いて測らないといけない=図面でチェックできない=役所が困る
②現場の職人さんの技術や精度で気密性能は良くも悪くもなるので、職人さんや請負会社、大手ハウスメーカーが困る
などの推測もあります。
Fフォースターをはじめとした、いわゆる新建材と呼ばれる、健康に害を及ぼす恐れのある建材を使用する場合は、高気密化による健康被害が無いとは言い切れません。
そういう意味では、床や壁はもちろん、柱や梁などの構造材にも無垢材を使用する弊社は、高気密化によるデメリットは無いと考えます。
断熱性能と気密性能は、切っても切れない関係にあり、どちらかだけでは成り立ちません。
ものすごく極端ですが、魔法瓶に穴が開いていたら、その保温性能は著しく低下するし、密封されたペットボトルに持続的な保温性能は期待できません。
ということで、断熱性能と気密性能、どちらも大事で、高気密にするのであれば、健康に害の無い建材を使用することを推奨します。